華氏451度

久々に新しい本を読み通した。


華氏451度 (ハヤカワ文庫 NV 106)

華氏451度 (ハヤカワ文庫 NV 106)

ファイアマンが火消しではなく火付けとして焚書にいそしむ世界。図書に対する封殺制度がある世界という点では図書館戦争と似ているが、その描写の恐ろしさはこちらの方が上だと感じる。こちらでは庶民らしい庶民の暮らしが詳しく描写されており一層言論封殺の怖さを引き立たせているのだ。SFなので荒唐無稽になって感情移入できないとする人もいるだろうが、併読する価値あり。
最近何度か読み返していたためどうしても図書館戦争と比較してしまう。あれのみを読んでいるといろんなテーマをよくたったの4冊にまとめたよなぁ、くらいにしか思っていなかったが、比較すると世界観の描写もなかなか。アメリカのブラッドベリがSFらしく大げさに描いた言論封殺の方法も有川はドンパチを除けば今行われていてもおかしくない代物だし、焚書禁書対象図書の決め方も作家ごとに指定した451度に対し泥縄式に本ごとに指定する戦争と、かなり練られたローカライズに思えてくる。
結局華氏451度については何も書いてないが、そういう感想を抱いてしまったのだからしょうがないか。