さよならMacbook Pro

2010年2月26日、私のwatermelon君が起動しなくなった。まあパソコンが不調を訴えること位には慣れている。ちょこちょこと普段どおりの対応をし、そして落胆した。彼は機嫌を直してくれない。時間を置いても、インストールディスクを入れても、PRAMもSCMもリセットしても、だめ。アップルサポートにすがりつき、書いてあることは全て試した。それでも彼が目を覚まさないとき、これまで概算で2万時間近く私の生活を見つめていてくれた彼も、ついに寿命を迎えてしまったことに気づいた。


それでも最後の望みを託したかったのか、気づけばアップルのgenius barに予約を入れていた。そして今日、彼をアップルストアに持っていった。genius barのお兄さんは私の話を聞くと、念のためと断って私と同じ作業をやっていく。確かに反応が無い。お兄さんは悲しげな表情を作ると、なにやら不思議な機械を彼に繋いだ。そうしていろいろ手を下し、その機械をお兄さんのマックブックプロ(彼よりも若く、綺麗だった)に繋ぐが、悲しげな表情が険しい表情に変わるだけだった。
「ロジックボードでしょうねぇ。一応分解して、中の様子を見てみますね。」
そうしてお兄さんは彼を店の裏へ連れて行った。真新しいマックに囲まれて、genius barのディスプレイは楽しげにPC用語を解説していた。


十編もPC用語の復習をさせられた頃、お兄さんは彼を抱えて戻ってきた。そしてこの場での対応は不可能なこと、修理センターに送ってロジックボード周りを調べて、場合によっては交換しなければならないこと、そしてそれには5万円はかかることをゆっくりと説明した。5万円。なんだ、普通に比較すれば、新しいのより安い。


しかし、私は知っていた。彼のHDDのバッドセクタが日に日に増えていたことを。彼の電源の最大容量が耐えられない速度で落ちつつあったことを。彼をここで蘇生しても、半年もすればまた大きなお金がかかる手術が必要になることを。


だから僕はアップルストアを去って、このエントリを書いている。さようなら、watermelon、今までありがとう。